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人と人を繋ぐアートと演劇のはなし Art×Communication

投稿日:2019年2月24日 更新日:

こんにちは。

子どもの専門家ブログです!

今回はアメリカやイギリスで生まれ、日本でも少しずつ注目されている「演劇教育」。コミュニケーション能力を高める、芸術の分野における演劇×保育 Art×Communicationについてお話していきます。

人との関わりと人間力の時代

AI社会になりつつある今、子どもたちのコミュニケーション能力は低下していると言われています。コミュニケーションをとる手段が変化し、本来顔を合わせて会話していたのが、画面を通して会話するようになり、本来他人の情報はそんなに入ってこなかったのにSNSで膨大な情報が入ってくるようになりました。

インターネットがこれだけ充実した社会であるからこそ、これからの時代はコミュニケーション能力が必須であると言われています。

自分の気持ちを自分なりに思考して伝えるチカラ

相手の主張を多角的に捉え、自分の解釈に落としていくチカラ

世界中から正しい情報を捉えるチカラ

社会の急速な変化に対応していくチカラ

これらは、コミュニケーションを基盤に、本来の人間的な自分を表現するチカラに繋がっていきます。

変化し続ける世界で必要になってくるコミュニケーション能力を高めるためには、子どもたちにどんな体験をさせてあげたらよいのでしょうか。

海外での取り組み

欧米ではコミュニケーション能力を育成するために、「演劇教育(またはドラマ教育)」が必須科目となっています。日本の芸術科目でいうところの美術や音楽のように、一般的な科目となっています。

有名な所だと、イタリアのレッジョ・エミリアのプログラムの中には、アトリエリスタによるパペットを使った劇が一つのアートプログラムになっています。

諸外国での演劇教育は、対人関係を学びコミュニケーション能力を高めるための非常に有効な教育であるととらえられています。

演劇は海外では“生きる練習”と言われ、こどもの成長過程において必須とされています。 また、演劇教育の効果は、近年日本でも注目されるようになり、表現教育やコミュニケーション演劇などとも呼ばれ、文部科学省が推薦するなど、徐々に広がりを見せています。

参考:文部科学省「コミュニケーション教育推進会議」

なぜ、演劇で「コミュニケーション力」が育つのか?

①演劇の体験は、コミュニケーション力を育む

相手の目を見て、自分の言葉を話し、伝える。相手の言葉を聞いて、空気を読み、理解し、受け入れる。
これはコミュニケーションの基礎です。 これまで私たちは、コミュニケーション力は人が日常生活のなかで自然に身についていく力だと思っていましたが、近年、現代のこどもたちのコミュニケーション力は、年々低下しているといわれています。

理由は、インターネット社会という時代背景にあります。 現代のコミュニケーションは、直接的な会話ではなく、インターネットやメール、SNSなどが主軸となり、人と人が直接面と向かって会話する機会が、社会全体的に見て減ってしまいました。 インターネットやメール、SNSの土壌では、文章を読み書きするスキルがあればコミュニケーションが成り立ちますが、直接的な会話は、表情や声のトーン、間など様々な要素から構成されるので、総合的なコミュニケーション能力を必要とします。

そこで、コミュニケーション力を育むために、大いに期待されているのが演劇です。 見てくれている人に情報を伝えるためにニュアンスを駆使したり、気持ちを込めたり、効果的な身振りをしたり、また、受け手に回る場合もそれらを理解し受け止める力が要求されます。

たとえば、お友だちに「いっしょに遊ぼう」と誘ったのに、「いや!」と断られてしまったとき、想像力があれば、「〇〇ちゃんは別の遊びがしたかったのかな?」と考えることができます。そうすれば「〇〇ちゃんはなにをして遊びたいの?」と相手の気持ちを考えた行動を取ることができるでしょう。これはまさにコミュニケーションです。

今の子どもたちは、人との関係性を結ぶことが不得手になっていると言われています。人とコミュニケーションが取れないために、居心地のよい場所を探すことができず、ストレスがたまり、心身を歪めてしまうのです。演劇を通して、人と人との関係性を学ぶことができれば、幼稚園や学校、習い事などのクラスの中でも、自分の居場所を見つけることができるでしょう。

②現実と切り離せる世界

コミュニケーションが得意な人と苦手な人の違いは、コミュニケーションが好きか嫌いかです。

 演劇の世界は、作られた世界です。 コミュニケーションが苦手な人は、「自分が何かを発言して、相手に悪く思われたくない。嫌われたくない。ならば黙っておこう」というネガティブな自己完結に陥っています。 しかし、演劇は仮想の世界なので、現実とは切り離して、感情を開放することができます。
そして仮想の世界だとしても、自分の感情を出したり、相手の感情を受け入れた経験自体は、コミュニケーションの成功体験として心に保存されます。

成功体験が増え続けることで、やがて、誰かと会話してわかりあうことの喜びを自然に理解し、コミュニケーションを楽しむことができるようになります。

③恊働遊びとしての演劇

一致団結しなければお話は完結しません。

「劇を作る」という目的を全員が共有し、何度もぶつかり合い、支え合いながら、深い相互理解が促されていきます。 また、演劇は“芸術”なので、自然それぞれの“個性”が重要だと気付き、互いにリスペクトし合う気持ちが芽生えます。 相手の“個性”を尊重したうえでの協調性やリーダーシップを取る力が育ちます。これらは社会に出ても重要なコミュニケーションスキルとなります。

④リスクと達成感

なにか発表する場があった場合、「やり直しはきかない」という図式を子どもたちは理解します。失敗したくないという巨大なリスクを仲間と共有するからこそ、仲間と向き合う必要が生まれます。
コミュニケーションを取り合う環境と、時にリスクを強調することで、こどもたちは自主的に他者とコミュニケーションを取るようになります。そして、本番に向けて他者と協力し合うことは問題解決力を養い、コミュニケーション力を伸ばしていきます。また、集団の中で「自分は替えのない存在である」ことを認識することで、自己を追求する強い精神力と自信を得ることができます。それらの体験は、次回来る更なる巨大な“リスク”に立ち向かう糧となります。

アート的な演劇活動とは?

アート的な演劇活動とは、具体的には、子どもたちにまずは自分の頭で考えることを習慣化し、アイディアを他者に提案し、互いに意見を交換して協力しあいながら、全員で一丸となって演劇に取り組む活動です。

その創造性を引き出すことで、本質的な脳の機能を起こします。 そして、自分で考え行動することができる子どもは、どんなときも他人や環境、状況に左右されない、自立した人間になっていきます。 また、人を助けたり、人に助けられたりしながら、他者と協力することで達成した収穫のほうが、一人きりで達成できる成果よりも何倍も大きく、感動や達成感があることを知っている子どもは、競争社会のなかであっても、周りの人々を敵ではなく仲間と捉え、リーダーシップや協調性を発揮し、その環境を楽しみながら輝くことができます。

演劇活動は、コミュニケーション能力だけでなく、表現力、集中力、協調性など、「人間力」を育むことが期待されています。

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